都市再開発債
この時価取引主義を市場原理の中枢においた点こそが、いまのアメリカの強さの秘訣なのです。特に不動産と金融において、アメリカがいまでもかたくなに時価取引主義を志向している象徴的な出来事がありました。先のアメリカ大統領選挙の際に、ルービン財務長官が発表した「都市再開発債」構想がそれです。世界の投資家に向けてルービン財務長官はこう提唱しました。「アメリカの大都市には、いまだに多くのスラム街が残っています。都市再開発債は、スラム街の再開発資金を調達するための債券ですから、投資家の皆さん是非購入してください。財務省は、発行に先立ってまず債券の流通市場(セカンダリーマーケット)をつくります。そして債券が値上がりした際のキャピタルゲイン(値上がり益)は非課税扱いとしますから、あとは投資家の皆さんの自己責任で思う存分やってください。」内容といい、その具体性といい、ルービン財務長官の提案は、日本の大蔵大臣のそれとは随分違うと思いませんか。もしも日本の大蔵大臣だったらこう発表するのではないでしょうか。「この債券は国が元本を保証するものですから安全です。皆さん安心してお買い求めください。流通市場は後日できる可能性はあります。とにかく国が保証しているわけですから絶対大丈夫です」と。
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